「奇譚クラブ」の絵師たち (河出文庫)

 

『薔薇族』編集長 (幻冬舎アウトロー文庫)

 

戦後エロマンガ史

 

武士道とエロス (講談社現代新書)

 

性風俗史年表 昭和戦後編―1945-1989

 

性風俗史年表 大正・昭和[戦前]編

 

性風俗史年表 1868‐1912 明治編

 

消える「新宿二丁目」―異端文化の花園の命脈を断つのは誰だ?

 

アメリカ性革命報告 (文春文庫 (330‐1))

 

ポルノ雑誌の昭和史 (ちくま新書)

 

夜這いの民俗学・夜這いの性愛論

 

熟女の旅 (ちくま文庫)

 

 

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見世物口上・採録   =採録者・小沢昭一

時=昭和四十三年秋、所=渋谷区代々木八幡祭礼、口上=こびとの女性




ハイ、御通行中の皆さま。御用と御急ぎのない方は、一度はズッとこちらの見世物公開までお立ち寄りになりまして、ホラ、世にも変わった世にも変わったこういう兄弟の、アイヨーゥ、お顔だけでも見て帰って下さい。アイヨーッ、ホラ、今いよいよ問題となりました、頭の二つの兄弟を、ホレ、いま、抱き上げて見ていただきますからずーッともっと前へお寄りになって下さいよ。無理に前に寄ったから入ってくれとは申しませんね。タダほど安いものはない。ホラ、タダで見ていただくんですから、ズッと、もっと前へお寄りになって下さい。ハイ、生まれたところは、九州は熊本県でありますよ。地位も名誉も財産もある立派なお家におきまして一人娘として生まれたおねェさんが、ホラ、木の葉、紙を食べなければその日の生活が出来ない世にも変わった女のコ。あとはホラ、今、こちらの舞台におりますのが、頭の二つの兄弟でありますよ。わけがあって名前は申し上げられませんが、お母さんのおなかをば、縦横十文字に切り開かれ、オギャーとこの世に生まれて来て、ホラどうですみなさん、頭が二つで胴体が一つ。こういう姿で生まれたばっかしに、われわれみなさま方と同じように、今日は映画、明日はお祭りよと、軒先三寸越えて……国境線越えちゃだめよ、国境線……あるくことの出来ない世にも変わった兄弟が、いま、恥も外聞もうち忘れ、なかのお客さま方のお目の前、私たちはこういう姿になってうまれたよと、涙ながらの物語。生まれだしてからのお話から、聞いてみていただいておりますから、どうぞ皆さん、わが子、わが兄弟にひきくらべ、こういう兄弟が、皆さま方の御家庭に生まれてこないよう見てあげて下さい。いもちょうど、なかは、頭が二つのきょうだいが、なかのおねェさんにつきそわれまして、ホラ、身体のお調べ、抱きあげられまして見ていただいております。いま中に入れられまして、この、ホラ、頭が二つの兄弟が、ビン詰ものやゴム細工であったらお金はいらないの。ホラ抱きあげてますからいそいで下さい。ホラ、恥ィも外聞もォうちわすれェ、いまちょうどホレ、裸になって身体調べ。どうぞ、どうぞ、入る時にはお金いらないのよ、子どもはだれでも三十円、入口はこちら。いま入ってちょうど、頭の二つの兄弟から、身体のお調べ、実演中。ハイどうぞどうぞ、ハイヨーッ、ハイ抱きあげて下さい。ハイイラッシャイマセ、お金あとお金あと。ハイ、歩かせて下さい。アイヨーッ、今舞台のまんなかで、恥も外聞もうち忘れ、歩かせますよ抱きあげます。子を思う親の気持ちはみな同じではありませんか。山は焼けても山鳥は、わが子いとしと身を焦がす。あすかの闇にはまよわねど子ゆえにまよう親心、因果はめぐるおぐるまの、作る大工はなかれどもおのれが作っておのれが乗るたとえ。、娘の身の上がどうして皆さま方のお目の前、恥をさらさなければならないか。さわってウミが出る血が出るようなそういう汚いもの、イヤラシイものを見ていただくのではございません。どうぞ、わが子わが兄弟にひきくらべ、ごらんになって頭のひとつもなでてやって下さい。ホレ、アイヨーッ、今ちょうど実演公開中でございますから、お出ましになったおついでに、こちらから前に廻られまして、ごいっしょにごらんになってあげて下さい。高い料金ではございません、兄弟が、なぜにこういう姿になって生まれて来たのでありましょうか。こんど生まれて来る時は、皆さま方とおなじように五体が満足揃うて生まれて来るようにと、はかない望みを抱かれて、各地神社仏閣に手を合わせ、花の御当地の皆様方に見ていただき、ホラ、この兄弟の罪ほろぼしではございませぬか。どうぞ、高い料金ではございませんどうぞ、どうぞ、気味の悪いものを見ていただくのではございませんよ。ホラ、こういう、世にも変わった兄弟から見ていただきたいと思います。頭が二つで胴体が一つ。あとは、いよいよ、あの長い胴体、重い胴体を、着崩れなおしながら、舞台のまんなかを歩かせて御覧にいれます。のびた長さが七米、はかった目方が八十キロ、この大きな大蛇をば、あとはいよいよ檻から出しましてそうしたら、身体のお調べ。大蛇の使い分けまで見ていただきます。ハイ、それでは、おねェさん、支度が出来上がったら、大きな大蛇、檻から出して、中のお客さんにようくみていただいて下さいよォ。ハイ、もっとネ、いま大蛇の頭みせますから、ズッとここまで寄って下さい。タダで見せるのよ。いま、ここの幕あけてネ、ホラ、ズッと前に寄ってちょうだい。表のお写真どおり実物でありますよォ。死んだものや、作ったものを見ていただくのではございません。生け捕りましたところは、南国は赤道直下インドの国マフェ山のジャングルにおきまして、何を思うたかこの大蛇は夜の夜中にジャングルから部落におりまして、ひとりの土人の赤ちゃんを呑まんとするところを、土人たちが三日三晩徹夜をもちまして、生け捕りに致しました問題の親大蛇でありますよ。伸びた長さが七米、はかった目方が八十キロ、大のおとこの人でさえも、三人がかりで持ち上げるこの大蛇をば、いま、中のおねェさんがいよいよ、檻から出しまして、タスキにかけたり胴体に巻いたり首にまいたりと、この大蛇にネ、一回巻かれただけでも、命がなくなるという、この恐ろしい大蛇をば三通りの使い分けから見ていただきます。あとは、いよいよ、嘘か真か、あの長い重たい胴体を、ひきずりのばしながら、ホレ、舞台のまん中歩かせて御覧に入れますよ。歩くあの姿からみていただきたいと思います。みなさんかネ、上野動物園に行かれまして、大蛇一匹御覧になりましても、歩くところや、餌をたべるところ、めったに見た人はないと思います。こういう大蛇は夜行性でありますから、夜しか歩きません。餌は夜しか食べませんが、今回は、ホラ、南国から連れてまいりまして、それからというものは、こちらのおねェさんが、長年の訓練をもちまして、やっと檻から出しまして歩くとこを、見ていただいております。ハイ、それでは、中のお客さん、皆さま方のお目のまえ、歩かせますよ。頭の一つもなでて下さい。一回さわっただけでも、三年は長生きするという、世にも珍しい親大蛇。どうぞ、ごゆっくりさわってみて下さい。表のお客さんお待ちどおさん。ハイ、嘘か真か、この錦大蛇の頭だけでも見ていただきますよ。こちらの人、こちらのかげになってみえません。ずっと斜めにつめて下さい。嘘ではありません。ハイ、入る時にはお金いりません。ちいちゃいお嬢ちゃんや、おんぶしたお坊っちゃんのお金はいただきません。どうぞ連れて入ってあげて下さい。サアなかのおねえさん、早く、抱き上げて下さいよーォ。ホラ、あの頭、あの大きな頭、ホラ、どうです、あれが大蛇のあの大きなあの頭、タラの頭やイワシの頭ではありません。あとはベルを合図に檻から出しまして大蛇の使いわけ。どうぞ、急いで下さい。入る前にはお金いらない。入口こちら。子どもはだれでも三十円。ホラ、急いで、いま、三百六十五枚の、あの蛇腹ウロコをもちまして、ホレ、歩かせて見せていただいております。ヒルは太陽の光線、ヨルは電気の光に照らされて、背中にはえた蛇腹ウロコが七色に光るという、きれいなあの姿。どうぞ一度はおでましになったおついでに、こちらからごらんになって下さい。今度見よう、また見ようでは、お間に合いませんよ。どなたも続いてゴいっしょゴいっしょ、。大映映画におきましてより、パラマウント映画にまで実演公開をいたしました。問題の錦大蛇親大蛇。歩くあの姿から見ていただきます。お値打ちはあると思いますよ。ホラ、ズッと前へ寄って見なさい、見してあげる。ホラ、こういう大きな大蛇ネ。タダより安いものはない。ホラ見えますよ。ハイヨーッ。ホラ、太鼓の音頭にあやつられ、あちらのスミから、ホラ、のそりのそーりと歩いておりますよ。歩いておりますうち、中へ入ってみてちょうだい。いま入ってちょうど。ホラ、花の御当地も本日をもってお別れでありますよ。どうです中のお客さん、モノスゴイでしょう。ホラ。お見落としのなきよう。子どもはだれでも三十円。大人さんは各地の半額七十円。書いたものは検事、判事がごらんになっておまちがいがございません。ハイ、入口はこちら。いま入って、大蛇が歩かなかったり、作ったものや、インチキものだったらお金はいらないの。笑って帰って結構。さ、どうぞどうぞ。ハイヨーッ。きもちの悪いもの、イヤラシイものを見ていただくのではございません。ハイ。こちらにおりまする女の子は、これは動物のお乳を飲んで大きくなったという山犬娘のおねェさんであります。何故にこういう木の葉、草を食べなければ、その日の生活が出来ないか、いまからニ十何年間という長い間、山の中におきまして、動物たち、獣たちと生活しておりました生活状態、実演公開をただいま、レコード音楽にのせまして見ていただくのですから、お値打ちはあると思いますよ。去年来た見世物のように、ホラ、蛇を食べるから見て下さいではございません。このおねェさん、生きたナマ肉は絶対食べませんよ。悪食実験を食べるのでありますから、それを見ていただきたいと思いますネ。生まれたところは山形県であります。地位も名誉も財産もある、立派なお家におきまして、ひとり娘として生まれたおねェさんが、なぜに、こういう動物たちと生活しておったか。赤ちゃんの時に、ヒョッとしたお母さんの不注意から、どこからともなく現れた一匹のけだものにさらわれてしまったのであります。それからというものは山形県はガンザンという山の中につれこまれまして、ホラ、食べるもの飲むものはありませんから、狼や、山犬のお乳を飲んで大きくなったおねェさんであります。三つ四つになりますれば、動物たちの持って来る餌をとっては食いちぎっては食いしておりましたが、ある日、ジャングルの中におきまして、こういうケダモノたちと遊んでおるところを、アメリカの兵隊さんに見つけられ、ジャングルの中には、非常に珍しい動物がいるというところから、ヘルコブタをもちまして救い出されたこの女の子であります。今日は暑いから、裸になったのではございません。冬でも夏でも、着せた着物はバリバリ、破ってしまうという世にも変わった女の子でありますよ。それでは、中のお客さん、この女の子食べるところを見たい見たいとお待ちかねでありますから、いま一度、あてがって食べさせて御覧に入れます。食べる食べると申しましても、蛇や生きたニワトリを食べるのではございません。ネ、ここらに、ホラ、生えております木の枝を折ってきて、ホラ、皆さま方が、お菓子かおせんべいでも食べるよう、さもうまそう、おいしそうに、ホラ、木のをば、一枚二枚さんまぁーい。食べておりますよ。木の葉なら何でも食べる。お茶の葉っぱは食べませんよ。木の葉から草の葉、木の実を食べてその日を生活するという、世にも変わった女の子。いよいよ、ホラ、あてがいまして食べさせてごらんにいれます。ベルを合図に中のおねェさん、木の葉っぱを食べる。世にも変わった状態から見てやって下さい。あとは、おねェーさん。食べてクダサイヨーッ!ホラ、いまちょうど入られますれば、悪食実験、木の葉っぱたべる。どうぞ、いらっしゃいまし。どうぞ。キモチの悪りいことありませんよ。どうぞいっしょいっしょ、お金あとお金あと。何故にこういうものを食べなければその日の生活が出来ないか、ニヤリニヤリと笑いながら、ホラ、いま、食べておりますよ。世にも変わった実験公開、いま、始まっております。木の葉のあとは、皆さま方のホラ、チリ紙を、一枚二枚と食べるのであります。今までこういうものを食べた人はおりません。蛇を食べる、ニワトリを食べるではございません。どうです、ホラ、なかのお客さん、おいしそうに木の葉っぱ食べているでしょう。ホラ、ちょうどいま、どうぞ。あとは続いて、頭の二つの変態児、一身二頭人。大蛇ショーと見ていただきます。ハイ、どうぞ、続いて。いま、おねェさんに、ここから、ごあいさつをさせますよ。押さないで前へ寄って下さい。ハイ。頭の二つの兄弟から見ていただきます。………………。





(小沢昭一「私は河原乞食・考」  P190 - 198  抜粋)




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[ 2008-10-23 (Thu) 09:57 ]  

さらに別カットもありました



396753861_b030477d09_o.jpg



[ 2008-10-21 (Tue) 23:06 ]  


下のカットの別アングルからの撮影と思われます


7f644.jpg
http://flickr.com/photos/simonyfrontsjones/273924427/


[ 2008-10-21 (Tue) 22:45 ]  
[ 2008-10-21 (Tue) 19:37 ]  
gabu_kom.jpg


かしら名 : 「角だしのガブ」
演目名 : 「瓜子姫とあまんじゃく」
役名 : 「あまんじゃく」

http://www.lares.dti.ne.jp/~bunraku/mystery/ningyou/tokusyu/gabu.html


がぶとは仕掛け糸を引くことにより美しかった女の形相が一変する女形一役頭のこと
女の秘められた情念漂う人形頭

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「がぶ」頭は、美しい娘が一瞬にして角を出し、牙を剥いた鬼面になる特殊な頭であり、「日高川入相花王(いりあいざくら)」の清姫、「嫗山姥(こもちやまうば)」の八重桐など、ごくまれな役にしか使わない。こうした特殊な頭は、素人受けする頭であり、地方では外題にかかわらず、頭の激変するところを見せるだけでも喜ばれた。

http://www.topics.or.jp/index.html?m1=5&m2=25&bid=11660741513855&cid=11661701143634&vm=1

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「性根」とは人間の心情を表す浄瑠璃世界の用語であり、娘かしらが特定の表情を持ったのでは、操りにくいということであろう。江戸時代の娘は、親や夫から命令されることを、従順に聞くことだけを要求されていて、自己の意思をあらわに出すことは、はしたないと考えられていた。

許される感情表現は泣くことだけである。泣くのは「ねむり」という目をつむる動作で表現される。その機能を備えているのは、傾城・新造・娘・老女形の四種だけである。婆は一家の家政を牛耳る女主人としての役割を持ち、家政全般に落ち度なく気配りをしなければならず、泣く余裕などない。また、お福は、自分の感情など持たずに主人の命令を忠実に実行していればよいからだ。

 ねむり目構造をもった四種の女かしらには、人形の右下唇に、上に向かって針をつけることがある。この針は、手ぬぐいを口にくわえたり、そで口をくわえたりするときに使用するもので、女性の抑えた色香を表現する工夫であり、妙につやっぽい。また、悔し泣きする場合にも使われる。

 「悔しい」「歯がゆい」という気持ちは、感情表現を抑えられた女性のぎりぎりの自己表現でもある。口針を使って手ぬぐいをかみ締めて、悔しさを抑えて泣く人形に多くの観客は連帯感を持ったことだろう。この針をつけるという工夫は、泣くことだけに満足しなくなった江戸時代の女性の気持ちを代弁するものとも考えられる。


http://www.topics.or.jp/index.html?m1=5&m2=25&bid=11660741513855&cid=11661700455676&vm=1

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[ 2008-10-14 (Tue) 05:59 ]  
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